Japanische Klassiker mit Furigana
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せんゆう
戦友
小川 未明
Lesen Sie 戦友 (せんゆう) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.699 Zeichen · 8 Bildschirme
「僕が死んだら、帰還したとき、老母に言伝をしてくれないか。」と、真剣な調子で、いいました。
「なに、おまえが戦死して、このおれが生きていたらというのか。」
「そうなんだ。」
「おまえが死ねば、おれだって死ぬだろうに……、またどうして、そんなことを考えたんだい。」
小西一等兵は、微笑しながら、
「僕は、画家なんだ。」
「そうか、画描きさんなのか。」
「ここへくれば、そんな職業のことなどはどうだっていいのだ。じつは、あれからもう二年たつが、いつも見慣れている、自分の住んでいた町の景色が、ばかに昨日今日、美しく見えるじゃないか。それで、一枚描こうかと思って、絵の具を買いに出かけて、帰ってみると召集令がきていたんだ。ああ、それで気がついたよ。神さまが、一生かかって観察するだけのものを一瞬間に見せてくださったのだと、ところが、今日僕にはこの野原の景色がたとえようなく美しく見えるのだ。空の色も、雲の姿も、また、この紫色の花も、虫の声までが、かつてこれほど僕を感激させたことはない。いまここにカンバスがあるなら、どんな色でも出し得るような気さえする。
しかし、これを描く、描かぬは問題でなかろう。