Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せんうんをかるじょかい

戦雲を駆る女怪

牧 逸馬

Lesen Sie 戦雲を駆る女怪 (せんうんをかるじょかい) von 牧 逸馬 (まきいつま) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 29.866 Zeichen · 59 Bildschirme

Aozora Bunko

ほら、ちゃんとこう列車番号から車室の番号まで書いてあるじゃないの。」

「そんなこと言ったって、満員だから仕方がありませんよ。」

「仕方がありませんて、どうするつもり? あたしをここへ立たしとくつもり? ずいぶん馬鹿にしてるわ。」

「冗談じゃない。そんなところに立っていられちゃ邪魔でさ。つぎの駅で降りてもらおう。」

「なんですって?」

「なにがなんだ。つぎの駅で降りろと言うんだ。」

「なんて失礼なやつでしょう。名前をおっしゃい。申告してやるから。」

というようなことから始まって、車掌は職権をかさに呶鳴りたてる。女はここぞとばかりヒステリカルに泣き出す。大変な騒ぎだから、メリコフも黙っていられない。車掌の言い草もかなり横暴なので、スラヴ族は多血質だ。むかっとして、頼まれもしないのに、女の助太刀に飛び出して行く。

「車掌君、君は婦人客にたいして物の言いかたを知らない。不親切きわまる。切符の手違いとわかったら、できないまでも、いちおう車室の融通を考えてみるのが至当じゃないか――まあま、貴女もそう泣くことはないでしょう。」

女を庇って、車掌を白眼みつけている。

ベルリン・ドロテイン街に住むドイツ政府直属の女国事探偵フォン・リンデン伯爵夫人は、四日前に外務当局から一通の命令を手交された。