Japanische Klassiker mit Furigana
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とびらはかたらず
扉は語らず
小舟 勝二
Lesen Sie 扉は語らず (とびらはかたらず) von 小舟 勝二 (こぶねかつじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.481 Zeichen · 9 Bildschirme
機械から人間への還元だ。その証明として睡眠を摂ることもある。機械は眠らない。――その日に限って、彼は睡眠時間の限度を超過してしまったのである。
巨大なガラス窓が、倉庫の闇の中へ微量の光線を供給している。彼はその前へ立って眼下六十呎の世界を俯瞰した。此の都会に於ける最も繁華な商店街の、眩耀的な夜景がくり展げられている。だがその夢ましい展望に、詩人的な感慨を娯しんでいられる彼ではない。マッチを摺って腕時計にかざす。七時十二分。
「何アんだ。まだ早いぜ! 三時間も寝たかと思った」
此の長方形の倉庫の一方は、ガラス窓で外界に接触し、一方は扉で売場との間を遮断している。彼は扉の方へ進んだ。
「おっと待ったり! 駄目だ! 一階の宿直室へ出る迄には途中に合計三枚の扉が邪魔をしている。その鍵を僕は持っていないと来た………」
こうして倉庫脱出は断念せざるを得なかった。ポケットの手先が冷めたい鍵の触感におびえる。彼はそれを取り出して、扉の鍵孔へ突込んで見る。鍵は「廻れ右」をする。扉に錠が下りたのだ。
「さて、僕はどうしたらいいんだい?」
一時間を費してその問題を研究した。