Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
とびらはかたらず
扉は語らず
小舟 勝二
Lesen Sie 扉は語らず (とびらはかたらず) von 小舟 勝二 (こぶねかつじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.481 Zeichen · 9 Bildschirme
彼の前に二つの方法が横たわっている――第一は即刻此処を出ることだ。困難な仕事は暗黒のビルディングの中を、手探りで三階商品券売場まで泳ぎつくことだ。宿直室への直通電話がそこの壁に彼を待っている。釦を押して電波を呼び醒ます。宿直員は途中三枚の扉を開けて呉れる。それから彼は宿直主任の前へ直立して、午後六時以後に起った肉体上精神上の経過を陳述し、決して商品窃取の目的を以って行動したことで無いことを諒解させることにつとめる。
第二は、今晩中を甘んじて此の倉庫内に過し、翌朝店員達が出勤し来る頃を見計らって、そしらぬ風を装おって出るのである。毎朝倉庫の扉を開放するのも彼の役目だったから万々疑ぐられることはない――此の方法に依れば、全然勤務成績に影響を及ぼすことがない――
「だが、宿直員の店内巡回と云うやつがあるぞ」
然し、これは極わめて形式的に行なわれる。彼らは一階から出発して五階へ来るまでには充分に疲れている。ただ扉を開けて提灯をふり廻すだけだ。その場合、彼は倉庫の隅の大きなソファの上で――決して下へかくれる必要はない――二分乃至三分間、静粛にしていればいい………