Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅじゅつ
手術
小酒井 不木
Lesen Sie 手術 (しゅじゅつ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.803 Zeichen · 10 Bildschirme
と、見る見るうちに先生の御顔に疑惑の色がただよい、その額にはオリーヴ油のような汗の玉が、ぎっしり並び始めました。恐らく先生はその時、夏の晩方、石だと思って掴んだのが、蟇であったときのような感覚をされたことだろうと思います。と申しますのは、患者の子宮は先生の予期に反して、先生が指で御つまみになると、空気の抜けかけたゴム鞠のようにくぼみましたからです。講習生の人々は、何事が起きたのかと、ちょうど、軍鶏が自分の卵ほどの蝸牛を投げ与えられた時のように、首をのばし傾げて、息を凝らして見つめました。
御承知の通り、手術室には、塵埃は至って少ないのですが、その時には、一つ一つの塵埃が、石床の上に落ちる音が聞えるかと思われるほど、静かになりました。やがて先生の手は少しく顫えかけました。すると、先生は何事かを決心されたかのように、でも、何事も仰しゃらずに、つと、子宮の中へ指を入れて、血のついた白みがかった塊をつかみ出されました。が、それは、ほんの一瞬間のことで、先生はその塊を右の掌の中へしっかり握りこんでしまわれました。講習生の方々は勿論、恐らく助手の方々も、それが何であったかは御承知なく、やはり、子宮の中に出来た病的の腫物だと思って居られたらしいのです。