Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ピッチャーさつじんじけん

投手殺人事件

坂口 安吾

Lesen Sie 投手殺人事件 (ピッチャーさつじんじけん) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.243 Zeichen · 57 Bildschirme

Aozora Bunko

「どうも、早朝から、御足労でした、もう、ちょッと、待っててください」

一服の証言を信用すれば、彼が帰ったあとで、女が、イヤ、男かも知れないが、とにかく口紅をつけた人物が訪ねて、タバコを二本吸っているのだ。

居古井警部は光子をよんだ。

「ゆうべおそかったようですね。今朝は又、早朝から、御足労でした。昨夜、何時ごろでしたか、大鹿君を訪ねたのは」

光子はフンとうそぶいて、返事をしなかった。その肉体は、小気味よく延びて、堂々たる威勢を放っていた。

「立派なおからだだな。何寸ぐらいおありです」

「一メートル六六。体重は五十七キロ」

「五十七キロ。まさに、ボクと同じだ。ところで、大鹿君からトレードの依頼があったそうですが、その話は、どんな風になっていますか」

「契約が成立したならお話できますが、私のは未成立ですから、公表できません。球団の秘密なのです」

「しかし、大鹿君が移籍すると聯盟の規約にふれて球界から追放されるから、結婚から手をひけと暁葉子さんを脅迫なさったそうですが」

「脅迫なんか、するもんですか。暁葉子こそ、曲者なんです。あれはツツモタセです。岩矢天狗と共謀して、三百万円まきあげるための仕事なのです」