Japanische Klassiker mit Furigana
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だきみょうがのせつ
抱茗荷の説
山本 禾太郎
Lesen Sie 抱茗荷の説 (だきみょうがのせつ) von 山本 禾太郎 (やまもとのぎたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.330 Zeichen · 34 Bildschirme
それは今まで乗り移っていた、得体の知れないけだものがぬけ去って本来の人に復ったようで、それからの母は手紙なぞ一本も書かなかったそうである。
夢のきれさしのように君子の記憶にのこっている祖母の話のきれぎれは、今では君子の想像のままに素姓の秘密を限りなく掘り広げている。
父の変死の後に、すっかり熱の下がった母は前夜泊まった二人の遍路の話を聞き、お高祖頭巾をかぶったその一人がとても母によく似ていたという話を聞くと、非常に驚き、そのまま再び床についてしまったということである。
父の死後、そんなに裕福でもなかった家は急角度で没落の淵に急いだものらしく、耕す田地もなくなったので作男に暇を出し、広い家の中には祖母と母と、君子の三人だけがさびしくとり残された。そしてついに米塩の資を得るために母は日夜機を織らねばならなかった。暮しは日一日と苦しくなり、このままでは三人が餓え死ぬよりほかなくなったので、母は一度国に帰ってくると、祖母一人を家に残して発足したという。
父の変死から家の没落、母が国へと言って発足するまでの話は、これも長い間にきれぎれに、あとさきの順序もなく聞いた話で、今では断片的にしか君子の記憶によみがえってこないのである。