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Japanische Klassiker mit Furigana

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だきみょうがのせつ

抱茗荷の説

山本 禾太郎

Lesen Sie 抱茗荷の説 (だきみょうがのせつ) von 山本 禾太郎 (やまもとのぎたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.330 Zeichen · 34 Bildschirme

Aozora Bunko

祖母が死んでから子守奉公、それから一日二日とあわただしい旅芸人、今日の日まで君子には人形の衣裳を脱がして見るほど落ち着いた気持ちの時がなかったのである。

人形を裸にして見た君子は、そこに不思議なものを発見した。人形の左の乳の上あたりに梅の花のような格好の模様が黒々と描かれてあった。それは決して最初からあった人形の傷ではない。あとから墨で書き入れたものであることが明らかだった。

何気なく人形の背中を見ると、そこには『抱茗荷の説』と、書かれてある。もし君子の記憶に抱茗荷の紋がなかったら、なんのことか分からなかったに違いない。だが、なんのために、こんなものが書かれてあるのか、そしてそれが何を意味しているのか、いくら考えても君子には分からなかった。君子は、この不思議を、そっとそのまま人形の着物に包んでおくよりほかにしかたがなかった。

君子は旅の十年間、知らぬ土地へ行くと、このあたりに湖のような大きな池はないかと尋ねることにきめていた。それはいうまでもなく夢のように記憶の底にある池の畔の森に囲まれた家を捜すためである。家の主人は一里ばかり離れたところに大きな池があると教えてくれた。