Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
おしかけにょうぼう
押しかけ女房
伊藤 永之介
Lesen Sie 押しかけ女房 (おしかけにょうぼう) von 伊藤 永之介 (いとうえいのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.073 Zeichen · 22 Bildschirme
五
明後日から田植にかかるつもりの眼のまわる忙しい日だつたが、作業は休みということになつて、母親のタミと初世の二人は、御馳走ごしらえにいそがしかつた。
自分の陰膳の据えられた仏壇を拝んでから爐ばたの足高膳の前に坐つた佐太郎は、五年ぶりのドブロクの盃を三つ四つ、重ねるうちに、もういい加減酔つてしまつた。
思いがけなく突然生きて戻つて来た長男と、差し向いで盃を重ねていた源治は、やがてゴロリと膳のわきに寝ころがつた佐太郎に向つて、水屋の方にいる初世をチヨイ/\と振りかえりながら、言い出した。
「なあ、お前の写真の前で盃事したどもなあ、田植出来したら改めて祝儀するべやなあ、なんぼ金かかつたつて、これだけは一生に一度のことだからなあ」
そう言う源治の圧しの利きすぎた沢庵みたいに皺寄つた眼尻はうつすらと濡れていた。
恋に狂つた蛙の声が一際やかましい夜が来た。昼の間は互いに顔をそむけて素知らぬ風をしていたが、寝床に入ると佐太郎はソツと初世の手をひいた。
「俺の家に来るつもりなら、戦地に出かける前にそう言えばよかつたろう」
「まさか」
「口で言わなくてもさ」