Japanische Klassiker mit Furigana
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おしえのきせき
押絵の奇蹟
夢野 久作
Lesen Sie 押絵の奇蹟 (おしえのきせき) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 58.749 Zeichen · 114 Bildschirme
ました赤い煉瓦の塀にしたりなすったので、何もかも見ちがえるように立派になりました。その中を親子三人で見まわりながらお父様は、
「なぜコヤツの下(私の妹か弟の事)が生れぬのじゃろか。今一人か二人か居らんと家が広過ぎるがなあ」
と云われた事がありましたが、その時もお母様は何ともいえない暗いような冷たいような顔をなすった事を、おぼえております。
うちがこのように立派になりましたにつれて、お母様も前のように安いお仕事ばかりをお引き受けにならぬようになりました。お稽古に来る近所のお弟子にお教えになる外は、極く上等の押絵や刺繍のようなものばかりを作っておいでになりましたが、それでも中々沢山ある上に、手間の安い仕事の五倍も十倍もかかるような物ばかりなので、お忙がしくないように見えて、なかなかお骨が折れるのでした。その押絵のメンモクはやはり皆、私とお母様の眼鼻が入れ交っておりますので、上等のものであればある程、お母様は私の眼鼻をよけいにお使いになるので子供心にも不思議に思い思いしておりました。
けれどもその中に、タッタ二度ほど、お父様のお顔をお使いになったことがありました。