Japanische Klassiker mit Furigana
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りゃくだつせられたるおとこ
掠奪せられたる男
豊島 与志雄
Lesen Sie 掠奪せられたる男 (りゃくだつせられたるおとこ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.398 Zeichen · 48 Bildschirme
」
そう答えながら、彼女は何を思い出したか一人でくすくす笑い出した。
「何が可笑しいんです。」
「だってあのイワンのことを考えてごらんなさい。私可笑しくて、可笑しくて……。今あんな人が居たらどうでしょう。屹度御飯が食べられなくなるわね。それでもこう云うでしょうよ。わしはちっとも悲しかない、食べられないから食べないんだって。」
そしてまた彼女は笑い出したが、急に真面目な調子に返った。
「けれど、イワンと云う人は、外交官になると屹度成功するわね。」
「外交官?」
「ええ、ちっとも変じゃないわ。上手な外交官には何処かあんな所があるものじゃないかと私思ってよ。日本に外交官が居ないのも、日本人にあんな性質がこれんばかしもないからだわ。けれど、日本にだってちっとは外交官も出てもいいわね、あの大谷何とか云ったわね。本願寺の……そう、大谷光瑞ね、あの人は、外交官としては一番偉い人ですってね。或る外務大臣の時なんか、面倒なことが起るといつもあの人の所へ聞きに行ったものですわ。あの人が外務大臣にでもなったら、日本の外交なんか屹度わけなく片附いてしまうわ。」
山田は全く呆気にとられてしまった。