Japanische Klassiker mit Furigana
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たんていしょうせつだんのしょけいこう
探偵小説壇の諸傾向
平林 初之輔
Lesen Sie 探偵小説壇の諸傾向 (たんていしょうせつだんのしょけいこう) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.887 Zeichen · 12 Bildschirme
物語を発展させようとするようなところが見える。そこで、この怪奇な、ポッシブル〔わずかでも可能な〕ではあってもプロバブル〔まず確実な〕でない世界の構成が、少しでも拙劣だと、作品の存在理由がよほど希薄になる。しかし、人間の心理には不健全な病的なものを喜ぶ傾向は、ほとんどインネート〔生来の〕なものだから探偵小説に、かような一派が生ずることは自然なことでもあろう。
この不健全派に対して、健全派ともいうべきものが対立して考えられる。
正木不如丘氏の作品のごときはその代表的なものである。氏の筆になったものは、いつか『朝日新聞』か何かに連載されたものと、今度の「赤いレッテル」だけである。氏は、まず何よりもスタイリストである。はじめて氏の文章を読んだ時に私は、夏目漱石のもつスタイルを連想した。こういうスタイルは、学者と芸術家との両面をそなえた人間に特有のもので、その特長は、一つ一つの概念がはっきりして使用されているということである。ぼかしや円みが全くない。非連続的であり、多角的である。円を描くのにコンパスを用いないで、どこまでも多角形の角の数を増していって円に近づこうとするといった風である。