Japanische Klassiker mit Furigana
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にぎったて
握った手
Lesen Sie 握った手 (にぎったて) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.293 Zeichen · 23 Bildschirme
ただ、松夫の良妻になりたいかどうかが問題なのだ。彼女の話ぶりでは、松夫の人格は認められていないようであった。
「アナタは二三年落第した方がいいのよ。学生にはアルバイトってこともあるし、人目も寛大だけど、卒業するとそうはいかないわよ」
「どうせ卒業できないよ」
「そう思うからダメなのよ。こう考えるのよ。永遠の大学生。ステキじゃない」
「永遠の三下と同じ意味だね」
「よく知ってるわね。悪い方、悪い方へ智恵がまわりすぎるのね。人生は表現の問題だわ。明るく生きよ。詩に生きよ」
「永遠の大学生が詩なんだね」
「詩的表現。永遠の三下が現実かも知れないけど、気の持ちようでどうにでもなるもんよ」
「ボクは、しかし、学校を卒業して、就職できて、キミと結婚したいんだ。それが偽らぬボクの気持だけど……」
「はやまるのは身の破滅よ」
「はやまるわけじゃないよ。すでに学校を卒業して就職する時期に来てるんだもの」
「だって、落第するでしょう」
「しないかも知れないよ」
「就職できないでしょう」
「だから、あせっているのさ」
「ムダだわね。私はアナタが学生だから恋したのかも知れないわよ」
「それはキミの本心かい」