Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ばんしゅうへいや

播州平野

宮本 百合子

Lesen Sie 播州平野 (ばんしゅうへいや) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.683 Zeichen · 214 Bildschirme

Aozora Bunko

縫子は、ひろ子のもんぺのほころびを縫ったり、二人の子供らの腹がけをこしらえたりしてやりながらも、気にして折々雨にかすむ外を見た。

「わたし、かえってまた出直そうかと思うけれど」

「どうしてさ。汽車にものれないのにこの雨を帰れるものか、歩くの?」

「……いて、いいかしら」

「誰にわるいのさ」

「…………」

「そうあれこれ考えないものよ」

「…………」

小声でそんな短い言葉が交されるとき、母もつや子もそのあたりにはいないのであった。石田へゆくと、挨拶を終る間もなくきっとつや子が、何時の汽車でおかえりますの? ときくんだものと親戚の若い女たちは歎いた。つや子は体が弱いせいか、その体のよわいということに気負けして暮しているせいか、直次のいるときから客ずきでなかった。人の出入りもない今、食事ごしらえも感興なく、その場のしのぎという風にされていた。

大降りの勢はちっともゆるまず、段々夕方が迫って来た。

「どうで! ほんほん、よう降りよる! つや子はん、また停電なとせんうちに、御飯しまうことで……」

睡眠の奥にまで雨脚がとおっているような一夜が明けた。

きのうは大雨の裡に生々していた自然の眺めもちらばっている家々も、きょうは連日の重い雨に濡れふやけて、力なく、ぼんやり色が流れて見える。