Japanische Klassiker mit Furigana
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ばんしゅうへいや
播州平野
宮本 百合子
Lesen Sie 播州平野 (ばんしゅうへいや) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.683 Zeichen · 214 Bildschirme
「一寸深うありますが、おそれずに」
ひろ子は、裸のまま濡れて微かに筋肉が震えている若い誠の腕につかまって、泥濘に脚をおろした。畑の柔かい土が、膝までもぐった。
「お母さんは?」
「あこにおられます、上の道は水がついちょりません」
新道の上は、あたりまえな雨の水たまりがあるばかりだった。砂利を足の裏に痛くふみながら崖に沿って寺の境内へ登って行った。
本堂に燈明がついて、もうそこに黒い人影が群れていた。朝鮮人の家族が多かった。石田の家の先に小川が二股になった三角地帯があり、そこに朝鮮人の農家があった。登代が様子をたずねた。
「はア家もなんもありゃせん」
それは誇張ときこえないのであった。
みんな、濡れたものをぬいで板じきの隅に一かためにおき、誠は、縫子が手当りばったり入れて来た女ものの浴衣を体にかけて、寺でかしてくれた毛布にくるまった。
十一
夜なかにあんな騒ぎがあったそれを信じかねるような快晴の朝になった。
山門から下って新道の上へ出、それを横切って短いダラダラ坂を石田の家もある一かたまりの部落の往来へ入りかかって、ひろ子は惨澹たる有様におどろいた。