Japanische Klassiker mit Furigana
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ばんしゅうへいや
播州平野
宮本 百合子
Lesen Sie 播州平野 (ばんしゅうへいや) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.683 Zeichen · 214 Bildschirme
「そんなことが出来るもんですか!」
とんでもないこととして、否定した。
「どんだけの人間がたまっているかしれんのに、第一、ベンチなんかあるものですか。あなた、どうされます?」
ひろ子と並んでかけている男に言葉をかけた。
「さあ――どうにかなりましょう。私は、仕事の関係で、この辺はよく往復していますから」
なるたけ、煩雑になりそうなことにかかわるまいとする調子で答えた。あから顔の、快活なところと弱気なところとが不思議にまじりあっている小柄な男は、須波が近づくにつれ、困却を示した。
「須波やったら、私の知っている家もあるし、多分そこで、宿やの世話をしてくれまっしゃろ。奥さん、わるいことは云わんから、一緒にその家へよって見ませんか」
熱心なすすめかたには、本当に、三原の駅でとまることなんか思いもよらないという状況がうかがわれた。一人旅をしているひろ子への親切とか、好奇心とかよりも、何かもっとその身に切迫した熱心さをあらわしている。
「その家も駅からすぐのところやさかい、もしお気に入らなんだら、駅へじき行かれます。若い男がいるさかえ、送らします」
徐行、徐行して、須波の駅へ列車が入り、どやどやと不満な旅客の大群がそれぞれの大荷物を背負ったり、さげたりして真暗な雨の車外に溢れ出したとき、ひろ子は、自分に道づれの出来ていた