Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ばんしゅうへいや

播州平野

宮本 百合子

Lesen Sie 播州平野 (ばんしゅうへいや) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.683 Zeichen · 214 Bildschirme

Aozora Bunko

もう一室、表側の室の復員兵たちと、ゆき来していて、なかに一人おっつぁん、おっつぁんと皆から呼ばれる、高声の慷慨家が交っていた。

ひろ子らがつくと間もなく、割烹服のかみさんが上って来た。宿帳をつけるでもなかった。

「ほんに、屋根の下にいるだけましと思っていただきます。御布団も何も疎開してしもうて、久しゅう廃業しとりますのに、皆さん、難儀なさかい、とめるだけ泊めえ、おっしゃりまして――」

三人分の米を出しあい、かみさんはそれをもっておりて行った。新しい道づれの持っていた大きいボール箱には、ひろ子の口に珍しい松茸がつまっていた。

「きょう中に大阪へつく予定だったんで、米をもっていません、すみませんが……あした何とかしますから……」

岡山から乗ったその男の松だけが、お菜になって出た。

膳が運ばれたとき、新しいつれは、

「どうです、一口」

そう云いながら立って床の間のスーツ・ケースをあけた。

「一口って――あるんですか」

支店長が、きらいでもなさそうに、そっちを見た。

「ありますとも。――私は、人の機嫌をとる商売でしてね」

アルコールの壜を出した。それを注いで水をわった。