Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ばんしゅうへいや

播州平野

宮本 百合子

Lesen Sie 播州平野 (ばんしゅうへいや) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.683 Zeichen · 214 Bildschirme

Aozora Bunko

戦争にひき出され不具にまでされた上、愛する確信さえ失うとしたら、人の一生として、きりこまざかれかたがひどすぎる。剛毅を。剛毅を。ひろ子は、それが湧き出ずる清水ならば手にすくって、その人の口から注ぎこみたいように感じた。

もう小一時間で京都に着くというとき、片脚の人は、ふと改った口調になって、向い側の「教・総」に云った。

「自分は、京都で下車いたしますが、一つ何か、記念になるお言葉を頂きたいと思います」

腕組みをしていた「教・総」はそう云われた途端、ほんのりとその顔を赧らめた。それは、能面になっているときの顔とはまるでちがって、好人物らしい、はにかんだ表情があった。

「自重して暮して下さい」

考えながらおだやかに、そう云った。

「そして、勉強する。む、勉強する。何より勉強が大切だ」

「ありがとうございます」

列車はその時小さい丘の裾をめぐって走っていた。列車のまきおこす突風で、野草がゆられ、萩の花がなびくのが見えた。

やがて又、片脚の人が言をついだ。

「どういうもんでしょう。こういう情勢になりましたから国体論というような本は、みんな、かくしておかなけりゃいけないもんでしょうか」