Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ばんしゅうへいや

播州平野

宮本 百合子

Lesen Sie 播州平野 (ばんしゅうへいや) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.683 Zeichen · 214 Bildschirme

Aozora Bunko

「さあ、お汁かけて。ほん、美味そうなじゃあろが」

昭夫は、自分の前に豆腐の澄汁をかけた、茶碗がすえられきるまでじっと見ていて、又、

「くわん!」

とくりかえした。

「いもがええ」

それ助かった、という風に祖母と母親とが、

「何で、そんなら早うそう云わんのじゃろ」

と蠅入らずから、ふかした薯の皿をその前へ出してやるのであった。

ひろ子が最後に来たとき、昭夫は生れて百日たったばかりの赤子だった。亡くなったお祖父ちゃんに似た色黒い面白い赤坊で、ちょこなんと抱いてとった写真を重吉のところへも送った。自分に子のないひろ子は、甥姪たちに特別な情愛を動かされ、注意をひかれるのであった。台所の蠅入らずの上に、陰膳をそなえていたときのまま直次の写真が飾られている。その写真で直次は浴衣がけで、あぐらをくんでいる。ゆったりと大きいあぐらのなかに、今よりずっと稚い頃の昭夫がまるっこく抱かれて、赤子のぽちゃぽちゃした顔に、可愛く眼、鼻、口をつけて、こっちを見ている。直次は、若い父親らしい表情で、口元をゆるめてとられているのであった。

しんみりとその写真をみせ、父さんについて語り、昭夫の気分を落付かせてやろうと努力する根気もつや子にはないらしかった。