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Japanische Klassiker mit Furigana

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はせくらじけん

支倉事件

甲賀 三郎

Lesen Sie 支倉事件 (はせくらじけん) von 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 204.697 Zeichen · 406 Bildschirme

Aozora Bunko

空からは時折りパラ/\と雨滴が落ちた。遮ぎるものゝない野を肌の下まで浸み亘るような冷たい風が通り過ぎて行く。

掘り起された土は穴の廻りに次第に堆高く積まれて行った。さして深くない墓穴の事とて、人夫のショベルはやがて何かに突き当った。彼等は云い合したように穴を覗き込むと、忽ちショベルの手を休めて、警官隊に合図をした。さっきから待ちかねていた石子刑事は飛び出して穴を覗いた。穴の底には白骨の一部が現われていた。

白骨の一部が見え出すと、人夫は注意してショベルを動かし出した。やがて完全な一人分の白骨が掘り出された。屍体は埋葬当時は無論粗末ながらも棺に収めてあったのであろうが、今はその破片さえ認められぬ程朽ち果てゝいた。着衣の一部と思われるものさえも止めていなかった。

白骨は直に用意の白木の箱に収められて自動車に積まれた。主任以下が乗り込むと、自動車は再びけたゝましい音を立てゝ、凱歌を奏するように揚々として走り去って行った。

白骨はそのまゝ警視庁の鑑識課に運ばれた。溺死体や惨殺された死体など、近親の人でさえ容易に見分けのつかぬものである。況んや、今発掘して来た屍体は井戸から上った時に既に六ヵ月を経過して何者とも判弁し難かったのであった。