Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

はせくらじけん

支倉事件

甲賀 三郎

Lesen Sie 支倉事件 (はせくらじけん) von 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 204.697 Zeichen · 406 Bildschirme

Aozora Bunko

然し更にその後呪いの鬼になった彼が、此署長の訊問中の不用意な片言隻語を捕えて、いかにそれを利用したか。読者諸君は一驚を喫せられる時があるであろう。

「お話はよく分りました」

支倉はぬっと頭を上げた。

「よく考えて見ますから今日は寝さして下さい」

「うむ」

寝さして呉れと云う支倉の言葉に、署長は暫く考えていたが、

「よし、今日の取調は之で終ろう。明日又訊ねるから考えて置くが好い」

午後から引続いた長い訊問は之で終った。

支倉は淋しい独房で破れ勝ちな夢を結ぶ事になった。

翌朝も快い春めいた空だった。人々は陽気に笑いさゞめきながら、郊外に残んの梅花や、未だ蕾の堅い桜などを訪ねるのだった。忙しそうに歩き廻る商店街の人達さえ、どことなくゆったりとした気分に充ちていた。

独房に閉じ込められた支倉喜平には、然し春の訪れはなかった。彼を自白せしめようと只管努力している警吏達にも、春を味わうような余裕はなかった。真四角な灰色の警察署の建築の中はあわただしいものではある。

この朝は神楽坂署の内部は、何となく憂色に閉ざされていた。

司法主任の大島警部補が急に病が革まったのである。