Japanische Klassiker mit Furigana
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こきょう
故郷
Lesen Sie 故郷 (こきょう) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.843 Zeichen · 22 Bildschirme
あれも、これも、見たいものがたくさん、たくさんあったのである。けれども私は、故郷を、チラと盗み見ただけであった。再び故郷の山河を見ることの出来るのはいつであろうか。母に、もしもの事があった時には、或いは、もういちど故郷を、こんどは、ゆっくり見ることが出来るかも知れないが、それもまた、つらい話だ、というような意味の事を書いて置いた筈であるが、その原稿を送った直後に、その「もういちど故郷を見る機会」がやって来るとは思い設けなかった。
「こんども私が、責任を持ちます。」北さんは緊張している。「奥さんとお子さんを連れていらっしゃい。」
昨年の夏には、北さんは、私ひとりを連れて行って下さったのである。こんどは私だけでなく、妻も園子(一年四箇月の女児)もみんなを一緒に連れて行って下さるというのである。北さんと中畑さんの事は、あの「帰去来」という小説に、くわしく書いて置いたけれども、北さんは東京の洋服屋さん、中畑さんは故郷の呉服屋さん、共に古くから私の生家と親密にして来ている人たちであって、私が五度も六度も、いや、本当に、数え切れぬほど悪い事をして、生家との交通を断たれてしまってからでも、このお二人は、謂わば純粋の好意を以て長い間、いちどもいやな顔をせず、私の世話をしてくれた。