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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぶんしょう

文章

芥川 竜之介

Lesen Sie 文章 (ぶんしょう) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.765 Zeichen · 14 Bildschirme

Aozora Bunko

と思うと老人もしっきりなしに鼻紙を出してはしめやかに鼻をかみつづけている。保吉はこう云う光景の前にまず何よりも驚きを感じた。それからまんまと看客を泣かせた悲劇の作者の満足を感じた。しかし最後に感じたものはそれらの感情よりも遥かに大きい、何とも云われぬ気の毒さである。尊い人間の心の奥へ知らず識らず泥足を踏み入れた、あやまるにもあやまれない気の毒さである。保吉はこの気の毒さの前に、一時間に亘る葬式中、始めて悄然と頭を下げた。本多少佐の親族諸君はこう云う英吉利語の教師などの存在も知らなかったのに違いない。しかし保吉の心の中には道化の服を着たラスコルニコフが一人、七八年たった今日もぬかるみの往来へ跪いたまま、平に諸君の高免を請いたいと思っているのである。………

葬式のあった日の暮れがたである。汽車を降りた保吉は海岸の下宿へ帰るため、篠垣ばかり連った避暑地の裏通りを通りかかった。狭い往来は靴の底にしっとりと砂をしめらせている。靄ももういつか下り出したらしい。垣の中に簇った松は疎らに空を透かせながら、かすかに脂の香を放っている。保吉は頭を垂れたまま、そう云う静かさにも頓着せず、ぶらぶら海の方へ歩いて行った。