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Japanische Klassiker mit Furigana

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いけぶくろのかい

文藝別冊[総特集]岡本綺堂

岡本 綺堂

Lesen Sie 文藝別冊[総特集]岡本綺堂 (いけぶくろのかい) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 72.671 Zeichen · 149 Bildschirme

Aozora Bunko

又、ある晩、庭さきで犬の吠える声がしきりにきこえた。あまりにそうぞうしいので、雨戸をあけてみると、隣家に住んでいる英国公使館の書記官マクラッチという人の飼犬が、わたしの家の庭にはいって来て無暗に吠えたけっているのであった。二月のことでまだ寒いような月のひかりが隈なく照り渡っていたが、そこには何の影もみえなかった。もしや賊でも忍び込んだのかと、念のために家内や庭内を詮索したが、どこにもそんな形跡は見いだされなかった。犬は夜のあけるまで吠えつづけているので、わたしの家でも迷惑した。

あくる日、父がマクラッチ氏にその話をすると、同氏はひどく気の毒がっていた。しかし眉をひそめてこんなことを言った。

「わたくしの犬はなかなか利口な筈ですが、どうしてそんなに無暗に吠えましたか。」

いくら利口だと思っても犬であるから、むやみに吠えないとも限らない、マクラッチも負け惜しみをいう奴だと思っていた。それからふた月ほど経って、この二合半坂に火事があって十軒ほども焼けた。わたしの家は類焼の難を免かれなかった。

その頃はその辺にあき家が多かったので、わたしの一家は旧宅から一町とは距れないところに引き移って、ひとまずそこに落ち着いた。