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Japanische Klassiker mit Furigana

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いけぶくろのかい

文藝別冊[総特集]岡本綺堂

岡本 綺堂

Lesen Sie 文藝別冊[総特集]岡本綺堂 (いけぶくろのかい) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 72.671 Zeichen · 149 Bildschirme

Aozora Bunko

が、六三郎は可哀そうにまだ子供です。またその性質や職業からいっても、そんなことの出来るような強い人間ではありません。実際この女のためならば、命もいらないと思い込んでいるとしても、いざという時にその命を思い切ってそこへ投げ出すことの出来る人間ではありません。で、六三郎は黙っていました。重ねて訊かれた時に、怖々ながら重い口で、「いいえ、存じません。」と、卑怯なことを言ったのです。六三郎は心にもない嘘をついてしまったのです。「ほんとうに知らねえのか。」と、念を押された時にも、「知りません」と、又答えたそうです。

吉五郎は「むむ、そうか。」と、苦笑いをしたばかりで、別に深く詮議もしなかったそうです。そうして「どうだい、もう一杯やらねえか。」と言って、例の味淋酒を突き付けられたのですが、六三郎はもう夢中で、今度は一杯の味淋酒をひと息にぐっと飲んでしまいました。

女の死骸はふたたび屏風に隠されて、それからまたいろいろの下物などが出たそうですが、六三郎は箸も付けませんでした。舞台で坐っているよりももっと整然とかしこまったままで、吉五郎や子分達がおもしろそうに飲んでいるのをまじまじと眺めていました。