Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぶんちょう

文鳥

夏目 漱石

Lesen Sie 文鳥 (ぶんちょう) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.569 Zeichen · 22 Bildschirme

Aozora Bunko

けれども文鳥は籠の底に反っ繰り返っていた。二本の足を硬く揃えて、胴と直線に伸ばしていた。自分は籠の傍に立って、じっと文鳥を見守った。黒い眼を眠っている。瞼の色は薄蒼く変った。

餌壺には粟の殻ばかり溜っている。啄むべきは一粒もない。水入は底の光るほど涸れている。西へ廻った日が硝子戸を洩れて斜めに籠に落ちかかる。台に塗った漆は、三重吉の云ったごとく、いつの間にか黒味が脱けて、朱の色が出て来た。

自分は冬の日に色づいた朱の台を眺めた。空になった餌壺を眺めた。空しく橋を渡している二本の留り木を眺めた。そうしてその下に横わる硬い文鳥を眺めた。

自分はこごんで両手に鳥籠を抱えた。そうして、書斎へ持って這入った。十畳の真中へ鳥籠を卸して、その前へかしこまって、籠の戸を開いて、大きな手を入れて、文鳥を握って見た。柔かい羽根は冷きっている。

拳を籠から引き出して、握った手を開けると、文鳥は静に掌の上にある。自分は手を開けたまま、しばらく死んだ鳥を見つめていた。それから、そっと座布団の上に卸した。そうして、烈しく手を鳴らした。

十六になる小女が、はいと云って敷居際に手をつかえる。