Japanische Klassiker mit Furigana
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となんせんせい
斗南先生
Lesen Sie 斗南先生 (となんせんせい) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.262 Zeichen · 44 Bildschirme
しかし、その死の予感は、三造をうろたえさせもしなければ、また伯父に対する最後の愛着を感じさせもしなかった。妙におちついた澄んだ気持で、彼は、ほの白い薄明の中に浮び上った伯父の顔を、――その顔に漂っている、追いやることのできない不思議な静かな影を――見詰めるのであった。その影に抵抗することは、とてもできない。それは、どうすることもできない定まったことなのだ、と、そういう風な圧迫されるような気持を何とはなしに感じながら。
汽車の中は、場所はゆっくり取れたけれども、あいにくそれが手洗所の近くであった。伯父は、それをひどく気にして、他の乗客がその扉をあけっぱなしにすると言っては、遠慮なく罵った。三造は毛布を敷き、空気枕をふくらして、伯父の寝やすいようにしつらえた。伯父は窓硝子の方に背をもたせ、枕をあてがって、足を伸ばし、眼をつぶった。茶っぽい光の列車の電燈の下では、伯父の顔にももう先刻の妙な「気」はすっかり払い落されてしまっていた。ただ、そのやせた顔の皺のより工合や、また時々のひきつるような筋の動きで、その浅い睡りの中でも伯父が苦痛をこらえていることが分り、それが向いあっている三造に落ちつかない気持を与えた。