Japanische Klassiker mit Furigana
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りょうりばんとじょちゅうのすがた
料理番と婢の姿
田中 貢太郎
Lesen Sie 料理番と婢の姿 (りょうりばんとじょちゅうのすがた) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.439 Zeichen · 3 Bildschirme
「でも、まだ一ぱいだわ」
「もう、大丈夫だよ、おいで」
男は新らしい煙草をつけてすぐ起って室を出た。彼女も男の力に引きずられるようにして後から従いて往った。もう便所はがらんとして何人もいなかった。彼女は男といっしょに室へ帰ったが、翌朝になって自動車で男といっしょに海岸にある男の宿坊へ引返していると、男は笑って云った。
「前夜の便所の口に立ってた二人ね、あれをなんと思うのだね」
「なにって、あれ、なんなの」
「ありゃ、時どきあすこへ出るものだよ」
「え」
「あいつ、かまわずにずんずん入って往きゃいいのだ。なにもしやしないのだよ」
「あなた、知ってて」
「おなじみだよ」
翌晩になって彼女は雑誌記者だと云う三人伴の客の席へ呼ばれた。その時同じように呼ばれて来ていた知己の女から、
「あなた、この比、へんなことを聞かない」
と云われた。彼女には前夜の体験があった。
「見たわ、あれでしょう」
「見たの、山の、あの字のついた家よ」
「そうよ、前夜、見たてのほやほやだわ」
「ほんとう、料理番と婢さん」
「そうよ」
彼女は得意になって話した。