Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しゃこう

斜坑

夢野 久作

Lesen Sie 斜坑 (しゃこう) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.977 Zeichen · 39 Bildschirme

Aozora Bunko

その中央に突立って、アカアカとした洋燈の光りの中にトロンとした瞳を据えながら、ウソウソと隅の方の暗い所を覗きまわった。

「……源次さん。出て来なさらんか。マンザラ妾と他人じゃなかろうが」

皆はイヨイヨ固唾を飲んで鎮まりかえった。その中で誰か一人、クスリと笑った者があったが、それが却って室の中の静けさを一層モノスゴク冴え返らせた。

「……嫌らッサなあ。タッタ今、そこに御座ったとじゃが。小便に行かっしゃったとじゃろか」

と呟やきながらお作はチョイト表の方の暗がりを振り返った。すると皆も釣り込まれたように、お作と一緒の方向を振り返ったが、外の方には源次らしい咳払いすら聞こえなかった。

仕繰夫の源次は、そうした皆の視線とは正反対の方向に、小さくなって隠れていたのであった。室の奥の押入の前に立てた、新聞貼の屏風の蔭に、コッソリと跼まり込みながら、眼の前で、苦しそうに肩で呼吸している福太郎の顔を、一心に見守っていた。ツイ今先刻まで、真赤になっていたその顔が、次第次第に青褪めて、眼を見開いた行き倒れのように、気味の悪い、ゲッソリとした表情に変って行くのを、驚き怪しみながら見とれているのであった。