Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

きられたさに

斬られたさに

夢野 久作

Lesen Sie 斬られたさに (きられたさに) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.352 Zeichen · 41 Bildschirme

Aozora Bunko

「ハッ。返す返すの御親切……関所の手形は仇討の免状と共々に確と所持致しておりまする。讐仇の生国、苗字は申上げかねまするが、御免状とお手形だけならば只今にもお眼に……」

「ああイヤイヤ。御所持ならば懸念はない。御政道の折合わぬこの節に仇討とは御殊勝な御心掛け、ただただ感服いたす。息災に御本望を遂げられい。イヤ。さらば……さらば……」

平馬は振切るようにして若侍と別れた。物を云えば云う程、眼に付いて来る若侍の妖艶さに、気味が悪るくなった体で、スタスタと自慢の健脚を運んだ。振り返りたいのを、やっと我慢しながら考えた。

……ハテ妙な者に出合うたわい。匂い袋なんぞを持っているけに、たわいもない柔弱者かと思うと、油断のない体の構え、足の配り……ことに彼の胆玉と弁舌が、年頃と釣合わぬところが奇妙じゃ。……真逆に街道の狐でもあるまいが……。

などと考えて行くうちに大粒になった雨に気が付いて、笠の紐をシッカリと締上げた。

……いや……これは不覚じゃったぞ。「武士は道に心を残すまじ。草葉の露に足を濡らさじ」か……。ヤレヤレ……早よう小田原に着いて一盞傾けよう。

刀の手入を済ましてから宿の湯に這入ってサバサバとなった平馬は、浴衣がけのまま二階に上ろうとすると、待ち構えていたらしい宿の女中が、横合いから出て来て小腰を屈めた。