Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんまんようものがたり

新万葉物語

伊藤 左千夫

Lesen Sie 新万葉物語 (しんまんようものがたり) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.832 Zeichen · 10 Bildschirme

Aozora Bunko

今日は客でもあったものと見え、時ならず倉の戸の開閉が強い。重い大戸のあけたては、冴えた夜空に鳴り響く。車井戸の鎖の音や物を投出す音が、ぐゎんぐゎんと空気に響くのである。物々しき大家の鳴音が、ひしひしとお小夜の胸には応える。

「あんなことをいったってちょっとした出来心だか何んだか知れやしない」こう考えてお汁の実に里芋をこしらえてる。とんとんと芋を切ってはまた考える。

「大学校を卒業したって、そんな立派な人が、どうして私なんかにあんなことをいうんだろう」

お小夜は手もとが暗くなったのに、洋燈をつける気もなく手さぐりで芋を切ってる。

「姉さん田雀をどうしたかえ」

国吉が洋燈を持ってきてそういった。

「あれ、忘れただよ、国、にしがには毛をむしれねえかい」

「あ、毛をむしるだけならおれにもできら」

お小夜はお汁鍋を囲炉裡へかけ、火を移した。祖母と国吉は、火のはたで田雀の毛をむしっている。お小夜は明日の朝の米を研ぎに井戸端へ出た。井戸端へ立てば園部の家の奉公人などが騒ぐ声も聞える。お小夜は釣瓶棹を手に持ったまま、また、三郎のことを考える。澄み切った空から十三夜の月が霜のような光を井戸端へ落している。