Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にいづまのしゅき

新妻の手記

豊島 与志雄

Lesen Sie 新妻の手記 (にいづまのしゅき) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.807 Zeichen · 22 Bildschirme

Aozora Bunko

分らないと吉川が答えると、では月に千円ばかりあげることにしよう、足りなかったらまた言って下さい、と母がきめてしまったとか。吉川自身、自分の小遣は会社の月給から差引いて、残りは全部母に渡し、生活費や資産の運用などは、母が独りでやっているのである。それが昔からの習慣なのだ。私の実家は貧しく、女学校の俸給はみな母へ渡していたし、ただ退職金だけを貰って私は稼いできた。月千円の小遣では不足がちだった。

けれども、そうしたことを、私は別におかしいとは思わなかった。買物はすべて母の指図通りにした。何々を買ってきなさいとか、何程の値段のものを買ってきなさいとか、母はこまかく注意した。まったく、今日はお洗濯をして宜しいでしょうか、と同じことである。然し、母が吝嗇だったというのではない。

私の或る翻訳原稿が、雑誌に採用されることになり、その原稿料を持って、津田さんが遊びに来たことがある。なにしろ小さな雑誌で、稿料のことも編輯長に一任したものだから、これだけになったが、こんどからも少しせりあげてみせるつもりだし、その時はビールでも飲みましょうと、津田さんは笑って、だいぶお饒舌りをして帰っていった。