Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.757 Zeichen · 375 Bildschirme
――当然、中軍との間が約半町も隔てられた。
「……見合わせよう」
一益のことばである。
部将たちは意外として、
「こよいの夜討をですか」
と、ひとしい眼をみはった。
「そうだ。早く、先鋒を呼びもどせ」
「はっ」
なぜと、問い糺している場合でもない。四、五騎がすぐ駈けた。後続隊へも、
「もどれ。――戻るのだ」
と、物頭たちが、いぶかり惑う足なみへ、俄に、令を伝えている。
矢田山へはまだ一里の余もある。
どうして急に大夜襲の決行を見あわせたのか、城へ帰った一益の口から親しく説明されるまでは、誰にも、その意が分らなかった。
「いかぬわい。さすがは筑前、疾くに夜討を備えておる。なに、どうしてそれが分ったというか。……はて、愚なる問い、それしきの心耳と機眼がのうて、戦ができるかよ。見ておれ、やがて物見が帰って来て告げることばを」
程なく、大物見の者が帰城して、帷幕へ詳細を報告した。それによって、一益の言が過っていないことがより明瞭になった。敵の矢田山附近には、一日のうちに、新たな柵と塹壕が急設されており、各陣地には、炎々と篝が望まれ、夜半といえ、戦気はみちみち、少しの間隙も見えなかったという。