Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.757 Zeichen · 375 Bildschirme
「御軍旅のおなぐさみに」
と、草団子を献上した。
「布施か。かたじけない」
秀吉は馬上ですぐ喰べた。喰べながら、僧に訊ねた。
「ここは何村か」
「馬上村と申しまする」
その答えを嫌って、秀吉はなお訊き返した。
「馬上寺村か、馬上寺村か」
僧は、マケという語の不吉にハッと気がついて、
「はい、はい。馬上寺村で――」
と云い直した。
秀吉は、呵々と笑い捨てて、早や飛鞭遠くを指していた。疾駆する馬の背から、折々陽脚を仰いだ。刻々の寸時も惜しまれているらしい。
山裾の間道を離れると、ふたたび本街道に出た。黄昏近きを思わせた山蔭の道も、明るく展けて来た視野には、なお夕陽にはだいぶ間のある空であった。
「どうしたことぞ」
秀吉は前後の臣にいった。
「そこらまでは、沿道の村々みな、先触れどおり、兵糧、松明の供えなど、抜かりなきよう見えたが――この辺には、行届いておらぬかにみゆるが」
「されば、その筈です」
石田佐吉がすぐ答えた。
「布令の衆は皆、二本の脛でお先駆けしていること、いかに迅脚とて、そういつまで、殿のお馬の先にあるわけはございません。――早や皆、追い越されて、後になったものと相見えます」