Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.757 Zeichen · 375 Bildschirme

Aozora Bunko

短い初夏の夜も、まだ明けきらない。

秀吉は、猿ヶ馬場まで進み、

「あれが、余吾か……」

と脚下に俯瞰された湖をながめて云った。

「余吾です」

馬廻りの武者たちが答えた。

秀吉は、手綱をとめ、地勢を按じているふうだった。

パチパチッ、パチッ……

左方の高地で銃声が聞えた。烈しい武者声も谺してくる。秀吉はまた問うた。

「佐久間勢のしっぱらいと見ゆる。いずれ玄蕃の子飼であろうが、あの健気な敵は誰だ?」

「殿軍の敵将は、原房親とか、聞えております」

馬廻りの一名が答えた。

何か思い当るものへ、秀吉は、独りうなずいて、

「あ。あの原彦次郎かよ」

と、なおしばし、谺に耳をすましていた。

彼方の銃声と喊声は、まッ暗な山腹を通って、次第にその戦闘地点を、西へ西へと移行しているらしい。また、時々、尾撃してゆく羽柴勢が、逆突をくって押し返され、阿修羅の両勢のおめき合うのが、すぐその辺のもののように迫って来る。

秀吉は、そこの激闘を偲んで、

「彦次郎めにしッぱらわれては、蜂ヶ峰へ向った味方も、辛い目を舐めおるにちがいない。……が、まずよかろう」

といった。そしてふたたび、馬をすすめ出していた。