Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.757 Zeichen · 375 Bildschirme

Aozora Bunko

「撃つな、撃つな」

馬上、大声をあげながら、その弾の来る方へと、敢えて、駈けてゆく一騎は、一箭の飛ぶような姿でもあった。

「筑前を、見知らぬか」

近々と、城門の際まで寄ると、彼は腰の金采を抜いて、城兵へ振り示した。

「これは、筑前守ぞや。見知りおる者もあろう。鉄砲は撃つな撃つな」

大手大門脇の矢倉にいた高畠石見と奥村助右衛門のふたりは、あっ、と驚いた様子で、矢倉から飛んで降りた。そして内から門扉を押し開くと、

「羽柴殿におわせしか」

さも、意外らしい顔のまま、挨拶に困じている態だった。

二人は、顔見知りの者だった。秀吉ははや馬から降りていたが、われから歩み寄って、

「又左は、帰ったか」

と、問い、かさねて、

「――又左衛門父子共に、別条はないか。無事帰城いたしたか」

と、見舞うように訊いた。

奥村助右衛門が、

「されば、お二方ともつつがなく、御帰城されておりまする」

と、答えると、秀吉は、

「そうか。よかったよかった。それ聞いて、いささか安堵。――助右、石見。わしの馬を曳いて来い」

馬の口を、二人へ渡すと、秀吉はあだかも、わが家来をつれてわが家へでも入るように、さっさと、城門の中へ入って来た。