Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.757 Zeichen · 375 Bildschirme
秀吉は、不審そうに、見まわした。
「誰へじゃ。……この盃を、播磨が特に取らせてくれいと、望むのは」
「いや、これには、おりませぬ者で――」
「いないのか」
「てまえが、供のうちに連れておる者で……。もしおゆるし給わるなれば、これへ呼んで、お目通りいたさせたく思いますが」
「よいとも、すぐ呼べ」
秀吉は、気軽かったが、またすぐ播磨守へ訊ねていた。
「……が、その者は、そちの家僕か。景勝殿のさむらいか」
「いや、阿修羅の伜でございまする」
「ほ。阿修羅の伜とな」
「はい」
「阿修羅の……?」
秀吉は変な顔をした。
播磨守が、酒興の戯れをいっているものと、疑ったからである。
が、やがて播磨守が、侍溜りから呼び入れて来たのを見ると、それはまだ十二、三の愛くるしい少年だった。
「播磨。かような童に、この大盃をやってくれとは、いかなる訳か。よも酒顛童子の伜ではなかろうに」
秀吉も、戯れた。眼をその少年にあつめた席上の酒客も悉く笑った。
ところが、ひとり石川播磨守だけは、眼に涙すらたたえて、その少年を傍らに寄せ、秀吉へ目見得の礼をとらせながら、さて、こう述べた。
「――去ぬる天正七、八、九年の北越陣に参加の衆は、なおお忘れあるまいが、この小伜は、当時、わが上杉家の一将として、魚津城に拠り、織田どのの遠征軍たる――柴田一族、佐々、前田などの