Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんちょうき

新潮記

山本 周五郎

Lesen Sie 新潮記 (しんちょうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 155.541 Zeichen · 305 Bildschirme

Aozora Bunko

三

「複雑だ、しかもどうしようもないほど複雑だ」

頼胤は呻くように呟き、面を掩いたいような気持で眼をつむった。

三

頼胤がひとり沈思していたとき、滝川内膳は接待所で結城寅寿と会っていた。

「どうしてもお眼どおりはかなわぬかな」

「お顔色ではよほど堅くお心をきめられたように思われます、以前とは違って、この頃はなかなかわれらの言上もお肯きあそばされぬようになりましたで」

「滝どのにも似合わぬことを」寅寿は不敵に笑った、「まだまだこれから仕事をすべきときに、さような心弱いことでは自ら墓穴を掘るようなものじゃ、讃州さま(頼胤)は御利発ではあらせられるが、それだけに勇断の気に欠けておいでなさる、そこを補い、お援け申すのが滝どのの役目、この辺でもうひと腰すえぬといけませんぞ」

「こちらはひと腰もふた腰も据えるつもりだが、ひとり相撲はとれませぬでな、お上のようすがめっきり変り申して、われらも結さまのあとを追う日が近いのではないかと思われまするよ」

内膳はそう云って笑った。

「ばかなことを」寅寿はにやりともしなかった、「なるほど拙者も今は隠居の身の上じゃ、いま御老公(斉昭)は思いのままに藩政を料理あそばしておる、けれどもこれがいつまで続くかは……はっは」