Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんぱん ほうろうき

新版 放浪記

林 芙美子

Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme

Aozora Bunko

「へん! 随分助平な話ね。」

私はやけに頬紅を刷くと、大学生は薄い蒟蒻のような手を合せて、「怒った? かんにんしてね!」と云っている。何云ってるの、裸が見たけりゃ、お天陽様の下で真裸になって見せますよ! 私は大きな声で呶鳴ってやりたかった。一晩中気分が重っくるしくって、私はうで卵を七ツ八ツ卓子へぶっつけて破った。

(十一月×日)

秋刀魚を焼く匂いは季節の呼び声だ。夕方になると、廓の中は今日も秋刀魚の臭い、お女郎は毎日秋刀魚ばかりたべさせられて、体中にうろこが浮いてくるだろう。夜霧が白い。電信柱の細いかげが針のような影を引いている。のれんの外に出て、走って行く電車を見ていると、なぜか電車に乗っているひとがうらやましくなってきて鼻の中が熱くなった。生きる事が実際退屈になった。こんな処で働いていると、荒さんで、荒さんで、私は万引でもしたくなる。女馬賊にでもなりたくなる。

若い姉さんなぜ泣くの

薄情男が恋しいの……。

誰も彼も、誰も彼も、私を笑っている。

「キング・オブ・キングスを十杯飲んでごらん、十円のかけだ!」

どっかの呑気坊主が、厭に頭髪を光らせて、いれずみのような十円札を、卓子にのせた。