Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme
皆、歯ぎれがよくて下町人らしい人達だ。
「この家も前は道路に面していたんですよ。でも火事があってねえ、こんなとこへ引っこんじゃって……うちの前はお妾さん、路地のつきあたりは清元でこれは男の師匠でしてね、やかましいには、やかましゅうござんすがね……」
私はおはぐろで歯をそめているお上さんを珍らしく見ていた。
「お妾さんか、道理で一寸見たけどいい女だったわよ。」
「でも階下の小母さんがあんたの事を、この近所には一寸居ない、いい娘ですってさ。」
二人は同じような銀杏返しをならべて雪の町へ出て行った。雪はまるで、気の抜けた泡のように、目も鼻もおおい隠そうとする程、やみくもに降っている。
「金もうけは辛いね。」雪よドンドン降ってくれ、私が埋まる程、私はえこじに傘をクルクルまわして歩いた。どの窓にも灯のついている八重洲の大通りは、紫や、紅のコートを着た勤めがえりの女の人達が、雪にさからって歩いている。コートも着ない私の袖は、ぐっしょり濡れてしまって、みじめなヒキ蛙のようだ。――白木さんはお帰りになった後か、そうれ見ろ! これだから、やっぱりカフエーで働くと云うのに、時ちゃんは勉強をしろと云うなり。