Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんぱん ほうろうき

新版 放浪記

林 芙美子

Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme

Aozora Bunko

コマ売りの老人の同情を強いる眼を見ていると、妙に嘲笑してやりたくなる。あんなものと私と同族だなんて、ああ汚れたものと美しいものとけじめのつかない錯覚だらけのガタガタの銀座よ……家へかえったら当分履歴書はお休みだ。

空と風と

河と樹と

みんな秋の種子

流れて 飛んで

夜。

電気を消して畳に寝転んでいると、雲のない夜の空に大きい月が出ている。歪んだ月に、指を円めて覗き眼鏡していると、黒子のようなお月さん! どこかで氷を削る音と風鈴が聞える。

「こんなに私はまだ青春があるのです。情熱があるんですよお月さん!」両手を上げて何か抱き締めてみたい侘しさ、私は月に光った自分の裸の肩をこの時程美しく感じた事はない。壁に凭れると男の匂いがする。ズシンと体をぶっつけながら、何か口惜しさで、体中の血が鳴るように聞える。だが呆然と眼を開くと、血の鳴る音がすっと消えてお隣でやっている蓄音器のマズルカの、ピチカットの沢山はいった嵐の音が美しく流れてくる。大陸的なそのヴァイオリンの音を聞いていると、明日のない自分ながら、生きなくては嘘だと云う気持ちが湧いて来るのだった。

(六月×日)

おとつい行った株屋から速達が来た。