Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme
昨夜の旅館の男衆がこっちを見ている。銀杏返しに結っているから、酌婦かなんかとでも思っているのかも知れない。私も笑ってやる。
長い夜汽車に乗った。
(九月×日)
又カフエーに逆もどり。めちゃくちゃに狂いたい気持ちだった。めちゃくちゃにひとがこいしい……。ああ私は何もかもなくなってしまった酔いどれ女でございます。叩きつけてふみたくって下さい。乞食と隣りあわせのような私だ。家もなければ古里も、そしてたった一人のお母さんをいつも泣かせている私である。誰やらが何とか云いましたって……、酒を飲むと鳥が群れて飛んで来ます。樹がざわざわ鳴っているような不安で落ちつけない私の心、ヘエ! 淋しいから床を蹴って、心臓が唄います事に、凭りどころなきうすなさけ、ても味気ないお芙美さん……。誰かが、めちゃくちゃに酔っぱらった私の唇を盗んで行きました。声をたてて泣いている私の声、そっと眼を挙げると、女達の白い手が私の肩に鳥のように並んでいました。
「飲みすぎたのね、この人は感情家だから。」
サガレンのお由さんが私のことを誰かに言っている。私は血の上るようなみっともなさを感じると、シャンと首をもたげて鏡を見に立って行った。