Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme
「お母さん! この世の中で何かしてみせたい、何か義理を済ませたいなんて、必要ではないではありませんか。」と私はおこっているのであった。ああだけど、母のこの小さな願いをかなえてやりたいとも思う。私は何と云うひねくれ者であろうか、長い間のニンタイが、私を何も信じさせなくしてしまいました。肉親なんて犬にでも喰われろと云った激しい気持ちになっている。
ああ二十五の女心の痛みかな
遠く海の色透きて見ゆる
黍畑に立ちたり二十五の女は
玉蜀黍よ、玉蜀黍
かくばかり胸の痛むかな
二十五の女は海を眺めて只呆然となり果てぬ。
一ツ二ツ三ツ四ツ
玉蜀黍の粒々は、二十五の女の侘しくも物ほしげなる片言なり
蒼い海風も
黄いろなる黍畑の風も
黒い土の吐息も
二十五の女心を濡らすかな。
海ぞいの黍畑に立ちて
何の願いぞも
固き葉の颯々と吹き荒れるを見て
二十五の女は
真実命を切りたき思いなり
真実死にたき思いなり
伸びあがり伸びあがりたる
玉蜀黍は儚なや実が一ツ
ここまでたどりつきたる二十五の女の心は
真実男はいらぬもの
そは悲しくむずかしき玩具ゆえ
真実世帯に疲れるとき
生きようか、死のうか
さても侘しきあきらめかや
真実友はなつかしけれど一人一人の心故……