Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme
新聞を見ていると、どろんこの轍の中へ、牛の糞をにじりつけたような気持ちの悪さになって来る。
さて、どっこいしょ!
いやに躯が重たいな。バナナのたたき売りが一山十銭。ずるずるにくさりかけたのを食べたせいか躯中に虫がわいたようになる。朝っぱらから、何処かで大正琴を無茶苦茶にかきならしている。
肺が歌うなぞと云う、たわけた詩が金になるとは思わないけれども、それでも、世間には一人位はものずきな人間がありそうなものだ。
寝床をかたづけて髪結いに行く。
金鶴香水を一瓶もつけたような、大柄な女が髪を結ってもらっていた。あんまり匂いがはげしいので、袖で鼻をおさえていたいような気がする。頭が痛くなる。奥では髪結さん一家が、そうがかりで桜の造花つくりの内職だ。眼がさめるようだ。
もうじき花見なのだ。
桃割れに結って貰う。安いかもじなので、どうにも工合が悪く、眉も眼尻も吊りあがるほどだ。二階で、急に、女の声で、「助平だねえッ」と云った。みんなびっくりして、天井をみあげる。
「また昼間っからやってるよ。どったんばったん角力ばかりやってンですよ。――なあにね、酔っぱらって、おかみさんをいじめるのが癖なンで……」