Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme
まるで、虫けらみたいな生きかただ。東京には、いっぱい、いい事があると思ったけれど何もない。
裸になっている時が一等しあわせだ。
オッカサンは流しの隅っこで円くなって洗濯をしている。私は風呂の中であごまでつかって口笛を吹く。知っているうたをみんな吹いてみる。しまいには出たら目な節で吹く。出たら目な節の方がよっぽど感じが出て、しみじみと哀しくなって来る。昨夜読んだ、ユジン・オニイルの「長いかえりの船路」の中の、イヴン、てめえ、娘っ子に会いたいって唸ってたんだぜ、そのくせ、娘っ子がやって来ると、てめえ、豚小舎の豚のように喉をならしてやがるんだと云うところを思い出した。
私はもう娘ではないけれど、何だか、娘さんみたいな気持ちになって来る。
夜、ひどい吹き降りになった。
電気をひくくさげて、小さいそろばんをはじく。いくらそろばんをはじいたところで、金が出て来るものでもない。オッカサンは鉛筆をなめなめ帳面づけ。いくらそろばんをはじいても、根が呆んやりと、うわのそらでいるせいか、いっこうに勘定に身がはいらない。まちがえてばかりいる。それでも只ひとりの肉親がそばにいる事は賑やかでいいものだ。