Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんぱん ほうろうき

新版 放浪記

林 芙美子

Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme

Aozora Bunko

この家にお前とお父さんが早く帰って来るのを、楽しみに待っている。お父さんの方も思わしくないと云うたよりだし、お前のくらし向きも思う程でないと聞くと生きているのが辛いのです。――たどたどしいカナ文字の手紙である。最後に上様ハハよりと書いてあるのを見ると、母を手で叩きたい程可愛くなってくる。

「どっか体でも悪いのですか。」

この仕立屋に同じ間借りをしている、印刷工の松田さんが、遠慮なく障子を開けてはいって来た。背丈が十五六の子供のようにひくくて髪を肩まで長くして、私の一等厭なところをおし気もなく持っている男だった。天井を向いて考えていた私は、クルリと背をむけると蒲団を被ってしまった。この人は有難い程親切者である。だが会っていると、憂鬱なほど不快になって来る人だ。

「大丈夫なんですか!」

「ええ体の節々が痛いんです。」

店の間では商売物の菜っ葉服を小父さんが縫っているらしい。ジ……と歯を噛むようなミシンの音がしている。「六十円もあれば、二人で結構暮せると思うんです。貴女の冷たい心が淋しすぎる。」

枕元に石のように坐った松田さんは、苔のように暗い顔を伏せて私の顔の上にかぶさって来る。