Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme
顔をいじくる気はもうとうないのだ。勝美さんだけが住み込みでいる。朝、塩せんべいをくれた女の子が、メリンスのちゃんちゃんこを着て店へ出て来た。痩せた病身な子供だ。
明日は太宗寺にサーカスがあるから一緒に行こうと私に云う。ろくろ首のみせものもあるのだそうだ。
旭町へ戻ったのが二時。くたくたに疲れる。今夜も同じ顔ぶれ。
何だか少しも眠れないので、豆ランプを枕もとに置いて読書。
(一月×日)
まア驚いた。トルストイと云う作家は、伯爵だったンだ。――いわゆるトルストイの無政府主義と呼ばれるものは、主要的にかつ基礎的に、我々スラヴの反国家主義を表現しているものであり、それは真実の国民的特徴であり、往時から我々の肉の中に沁みこみ、漂浪的に散ろうとする我々の慾望でもあります。――ロシヤの歴史の雄なる作家トルストイが、伯爵さまであったとは今日の日まで私は知らなかった。伯爵さまでものたれ死にをするのだ。
おかあさん、ロシヤ人のトルストイは華族さんなんですよ。驚いたものだ。私は妙な気がして躯じゅうがぞおっと寒くなった。
「えらい勉強だね」
銀時計のおばさんが髪をかきつけながら笑っている。