Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme
生きて血を噴くものにおめにかかりたいものだ。ふわふわと鼻をふくらませて第一に息を吸うこと。口にいっぱいうまいものを頬ばること第二。千松は厭で候。誰とでも寝るために女は生きている。今はそんな気がする。
ふっと気が変って、また牛込へ尋ねてゆく。野村さんは不在。神楽坂の通りをぶらぶら歩く。古本屋で立読み。このぐらいの事は書けると思いながら、古本屋の軒を出ると、もう寒々と心の中が凍るように淋しくなる。何も出来ないくせに、思う事だけは狂人のようだ。また本屋に立ち寄ってみる。手あたり次第にぱらぱらと頁をめくる。何となく気が軽くなる。そしてまた戸外へ出ると心細くなって来る。歩いていることがつまらなくなって来る。すべては手おくれになった手術のようで、死を待つばかりの心細さ……。
店へ戻ると、もう掃除は出来ていた。
医学生が三人で紅茶を飲んでいる。二階へあがって畳に腹這いごろごろと転ぶ。口のなかからかいこの糸のようなものを際限もなく吐き出してみたくなる。悲しくもないのに涙があふれる。
(二月×日)
雨。風呂のかえり牛込へ行く。
襟おしろいをつけているので、如何にも女給らしいと野村さんが叱る。