Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんぱん ほうろうき

新版 放浪記

林 芙美子

Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme

Aozora Bunko

はい、私は女給さんなのだから仕方がないでしょうと云う。女給さんがどうして悪いのよ。何でもして働かなくちゃ、他人さまは食わしてくれないのだもの……。もう、私の働いている場所へ来ないで下さいねと云うと、野村さんは灰皿を取って、私の胸へ投げつけた。眼にも口にも灰がはいる。肺の骨がピシッと折れたような気がした。扉口へ逃げると、野村さんは私の頭の毛をつかんで畳へ放り出した。私は死んだ真似をしていようかと思った。眼が吊りあがって、猫にくいつかれた鼠のような気がした。何か二人の間にはまちがい事があるのだと思いながら、男と女の引力がつながっている。腹の上を何度か足で蹴られた。もう、金なぞビタ一文も持って来るものかと思う。

千葉亀雄さんが親類だと云うのだから、あのひとに話してみようかと思ったりする。私は動けないので、羽織を足へかけて海老のように曲って眠る。

夕方になって眼が覚める。あのひとはむこうむきで机へ向いている。何か書いている。金だらいの手拭を取ると手拭がかちかちに凍っている。呆んやりと裸電気を見ていると、お母さんのところへ帰りたくなった。

肺の骨がどうにも痛い。