Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme
みんな人生への断り状だ。生きていることが恥かしいのだ。労働は神聖なり、誰かがおだてて貧乏人にこんな美名をなすりつける。鼻もちもならぬほど、貧民を軽蔑し、無学文盲をあなどりたい為に、いろんな規則ががんじがらめに製造される。貧民は生れながらの私生児のようなものに落ちこんで行く。
幸福の馬車は、いちはやくこうした徒輩の間を一目散に走り去ってゆく。みんな見送る。ただ、ぼんやりとわめき散らす。月が盗まれたような気がして来る。虚空に浮いている幸福な金貨のような月の光りは消えた。月さえも万人の所有物ではないのだ。――私は貴族は大嫌い。皮膚に弾力のない不具者だ。
今日も南天堂は酔いどれでいっぱい。辻潤の禿頭に口紅がついている。浅草のオペラ館で、木村時子につけて貰った紅だと御自慢。集まるもの、宮島資夫、五十里幸太郎、片岡鉄兵、渡辺渡、壺井繁治、岡本潤。
五十里さん、俺の家には金の茶釜がいくつもあると呶鳴っている。
なにかはしらねど、心わあびて……渡辺渡が眼を細くして唄っている。私はお釈迦様の詩を朗読する。人間、やぶれかぶれな気持ちになると云うものは全く気持ちのいいものだ。